White atelier BY CONVERSE

日本のみならず、世界各国で活躍するアーティストの高橋信雅さん。
言葉や国境を越えて人の心をつかむ作品とは何か、作家として大切にしている信念についてご自身のアトリエでお聞きしました。

ー売れ筋もタブーも気にしない。
おもしろいものが作りたい。

作家の使命は、まだ誰も見たことない世界を見せることだと思っています。たとえば目の前に、誰も登っていない山があったら、僕はそこに登って見たもの、感じたことを麓にいる人たちに伝えたい。そうすれば登っていない人もその景色を感じることができるし、新しい世界が広がる。今回のコラボもそうです。ほかの人が今までできなかったことをやって「こういうものが欲しかった」と思えるシューズを作りたいし、これはダメだったけど、こういうことはできるという気づきがあればいいと思う。「俺の屍を越えていけ」ですね(笑)。だから、最初から売れ筋もタブーも気にしない。純粋におもしろいものが作りたいんです。そういうものは一部のマニアにしか響かないかもしれないし、そのおもしろさに気づいてもらえるまで数年かかるかもしれない。だから、僕のそういう部分を理解して、一緒にものを作りましょうと言ってくれるコンバースの懐の深さには頭が下がります。ほかのスニーカーブランドだときっとそうはいかない。コンバースのファンたちはそういうこともおもしろがってくれるから、僕の世界ともつながっていると信じられるんです。

ー人が魅入る線を
何本持っているのか。

ジャパニーズグラフィティシリーズは僕の代表作の一つ。このシリーズは線の力加減が重要です。「きれい」に描くこともできるけど、それは求めない。「きれい」以外にも「カワイイ」とか表現の道はいろいろあるじゃないですか。このシリーズでいえば、「たのしい」のクオリティを上げていくカタチ。あとは、できる限り力を抜くのです。力を抜くのっていうのは手抜きをするんじゃなくて、シンプルにすること。極端な話、一本の縦線だけでもニンジャだとかガイコツだとわかるくらいに無駄なものをそぎ落とす。線にはそれぐらい意味があるのです。
線描きにとって重要なのは、人が思わず見てしまうような、心を惹きつけられる一本の線を描けるか。描けるとしたらそれを何本持っているのか。描ける線の数で作家としての格に差が出ると思っています。売れる作家は時代をつかんだ線を描けるから。でも作家は線だけじゃ保てない。この世界に長く焼きつく普遍性を生み出さないといけない。そして、まず、自分の線になっていないとね。そのために日々ひたすら禅問答のように自問しながら答えを探してるんです。

ー突き抜けた作品だけが
人の心を惹きつける。

作家たるもの、作品が突き抜けていないと意味がない。そういうものは色褪せないから支持されるし、売れ続ける。中途半端が一番いけない。だから作家は常に突き抜けたもの、開いたものを生み出すべきなんだけどそれが難しい。極端な話をすると、そこらへんにいる作家の絵よりも子どもが真剣に描いた絵が人を惹きつけることだってある。突き抜けた作品というのはそういうパワーがあるんです。小説だったら芥川賞作品とかね。まだまだ言葉が荒削りだったり、表現が拙かったりするんだけどすごく心を揺さぶられる。僕も常に必死で開こうと思っているんだけど、なかなか。一生懸命ダイヤモンドを作っていると思ったら、気づかないうちにクリスタルになってることもある。見た目は同じように見えても中身が全然違うでしょう?作家はそれじゃいけない。僕も閉じたり開いたりを繰り返しているうちにあっという間に作家生活20年が経ちました。これからも精一杯もがきながら、おもしろいものを生み出したいですね。

Artist Profile

高橋信雅 /NOBUMASA TAKAHASHI

鬼ヶ島と東京の二拠点からマニアックな作品を世界に向けて発信しているアーティスト。線描による独特の表現は、日本では「洋」と、海外では「和」を感じさせる独自の世界観を作り出している。

#05
Artist Interview Index
#07
Artist Interview Index
twitter
facebook